楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天バンガード VTI)の運用報告書で実質コストが明らかに

楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天バンガード VTI)の運用報告書で実質コストが明らかに



楽天・全米株式インデックス・ファンドの実質コスト公表で隠れコストが明らかに

楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド)の運用報告書が少し前に出ましたね。
米国株投資家にはお馴染みのETFであるVTIですが、為替交換や外国ETFのため購入が煩雑です。

一方、楽天VTIは国内投信のため簡便に購入できることもあり人気の投資信託となっています。

私もVTIは優れたETFと考えており、実験も兼ねて様々な方法でVTI関連に投資しています!
楽天VTIも本家VTI(ETF)に比べてお手軽に積立投資できる(後述)ため、定期的に購入しています。

 

今回は楽天バンガードVTIで初となる運用報告書が公表されたので内容について考察します。
事前に告知されていた信託報酬に比べて実質コストはかなり高くなっています(隠れコスト)。
ちょっぴり残念な結果ですが今後は改善の余地があると考えています(^^)

今回の記事は米国株式や投信の初心者方にも理解頂けるように下記の点でまとめました。

「楽天VTIはちゃんとベンチマークと連動しているの?」
「実質コスト?隠れコストとはなんでしょう…計算はどうやってやるの?」
「楽天VTIの実質コストは今後下がるのか?」

 

結論として、コストや現在の情報からすぐに解約するほどではないと考えます。
よって管理人のスタンスは「楽天VTIは来年まで積み立てて継続可否を判断する」です。

 

 

楽天・全米株式インデックス・ファンドの純資産総額の増加が凄い!コスト増加でベンチマークとの差異が気になる…

楽天VTIの基準価額がベンチマークと乖離中!

それでは国内投信である楽天VTIの基準価額と純資産総額の推移を見てみましょう。
基準価額とは投資信託の時価で、株式で言えば株価のようなものと考えてください。
純資産総額は全投資家が楽天VTI投信に投資している総額になります。

rakuten-VTI
参照:楽天・全米株式インデックス・ファンド 月次レポートより

 

基準価額はCRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)に連動するように設計されています。
概ねインデックス通りの動きですが(当然ですが)、若干の差異が見られます。
なお分配金はまだありませんので赤線と緑線は完全に一致しています。

 

以下のグラフは運用報告書にあるベンチマークとの比較グラフです。
楽天VTIの基準価額(分配金込み)とベンチマークの騰落率の対比を示しています。

rakuten-VTI
参照:楽天・全米株式インデックス・ファンド 交付運用報告書より

 

今期は運用の結果、基準価額の騰落率は+11.6%と上昇し、ベンチマーク比では△1.1%となっています。
世界的な株高の恩恵を受けて米国株式も絶好調、基準価額も10%以上の上昇です!

一方、ベンチマークとの差異はどこから生まれたのでしょうか?
運用報告によれば下記の要因が挙げられています。

主なベンチマークとの差異要因
1.投資先ETFの売買執行コストの積み重なり
2.投資先ETFからの分配金に対する課税
3.楽天VTIの信託報酬等

 

売買手数料や税金などのコストが主な原因のようですが、詳細については解説されていません。
多少のズレは仕方ありませんが1%以上はかなり大きな数字です。
今回は1期目なので様子見ですが、今後改善しないようであれば一気に顧客離れにつながる危険性があります。

 

米国株式投資人気で純資産総額の推移は力強い動き

一方で純資産総額の伸びは素晴らしいものがありますね。
月次報告では8月末で193億円に到達しており、1年で200億円を達成しそうです。

楽天VTIのように長期-無期限での運用を前提とする投資信託は規模が重要です。
解約続きで返金のためにETF売却が続けば手数料増加などでベンチマークとの乖離が大きくなります。
規模が大きくなれば解約による強制決済の影響が全体に及ぼす影響も小さくなります(後述)。

 

投資信託の長期積立を主な資産運用にしているサラリーマン投資家の方も多いと思います。
楽天VTIは優れた投信ですが買い増し・撤退を判断するためにも一度基本書で勉強することをオススメいたします。

 

楽天バンガード VTIの実質コストは投資信託報酬から大幅に増加…今後の隠れコストの増減はどうなるか?

楽天バンガード VTI運用報告書から実質コストを計算

投資信託の費用は実は投資信託報酬だけではありません。
信託報酬以外に発生する費用(隠れコスト)を加えた実質コストで費用の多寡を判断する必要があります。

それでは運用報告書に記載された楽天VTIの実質コストを見てみましょう!

 

rakuten-VTI
参照:楽天・全米株式インデックス・ファンド 交付運用報告書より

なお(a)信託報酬は楽天VTIの信託報酬のみを示しています。
マザーファンドであるVTI(ETF)の信託報酬は別途コストとしてかかります。

 

投資信託には投資信託報酬以外にも様々なコストがかかることが分かりますね!
今回の報告書に基づいて割合をグラフを作成すると50%以上が信託報酬外費用です…。
費用に関しては、初心者にも分かりやすく最終的なコストを明示すべきだと思います。

rakuten-VTI
参照:楽天・全米株式インデックス・ファンド交付運用報告書から作成

 

楽天VTIは昨年運用が開始されたばかりの新しい投資信託です。
そのため運用期間は報告書に記載の期間分のみで1年未満です(2017/9/29~2018/7/17)。
そのため年単位に変換すると実質コストはさらに高くなります。

 

それでは年単位あたりに換算して実質コストを計算してみましょう。
本来の楽天VTIの(a)信託報酬は0.1296%なのですが、今回の該当期間分は0.097%になります。
この倍率から1年間分を算出できます。

0.1296% ÷ 0.097% = 1.336 (1年分を計算するのに掛けるべき倍率)
1.336 x 0.203% = 0.2712% (楽天VTIの1年分のコスト)
0.2712% + 0.04% = 0.311% (ETFの信託報酬を加算した、楽天VTIの1年分の実質コスト)
計算結果は適当に四捨五入した概算となります

 

なんと一見0.13%程度に見えた楽天VTIの実質コストは0.31%にもなりました…。
投資信託としては、このコストはなかなか割高ですね…。

 

来期以降は実質コストの低下が期待できる!

実質コストが意外に高くなり、VTI好きの投資家達は落胆されたのではないでしょうか…。
しかし楽天投信投資顧問株式会社より来期コストについてコメントがされています。

結論として、次期以降は実質コストが低下することが期待できます(^^)

 

ファンド開始に伴い純資産総額の急激に増加したため、売買委託手数料が協会規則に則って計算すると大きくなった。

参照:楽天投信投資顧問株式会社 運用報告書「1万口当たりの費用明細」の内容についてより

 

回答の内容が少しややこしいので整理してお伝えします!

運用報告書は投資信託協会規則のルールに則って作成されています。
ルール通り、報告書に記載された売買委託手数料は以下の計算式にて算出されています。

売買委託手数料=期中の売買委託手数料 ÷ 期中の平均受益権口数

 

ここで分母の「期中の各月末現在の受益権口数」は単純平均が用いられます。
この単純平均を用いているため、開始直後に純資産総額が急増すると計算上コストが増加することがあります。

 

例として今期(第1期)、来期(第2期)ともに口数が100億口増加したと仮定します。
増加した口数が同じなので、手数料も同程度の費用(例として500万円)であったと仮定します。

分母となる「期中の各月末現在の受益権口数」は以下のように計算されます。
第1期:(0+100億口)÷2=50億口
第2期:(100億口+200億口)÷2=150億口

その結果、1万口当たりの売買委託手数料は以下のように計算されます。
第1期:500万円÷50億口×10,000=10円
第2期:500万円÷150億口×10,000=3.3円

 

同じ口数の増加でも全体に対する割合が違うので手数料が計算上変わってくることが分かります!

 

ETFのVTIと違い、楽天VTIは少額から簡便に積立投資が可能

来期以降にコストの低下が期待される楽天VTIですが、どうしても本家VTIよりは高くなります。
それでは本家VTIを購入した方が必ず良いということでしょうか?

私は下記の点から楽天VTIにもメリットがあると考えます。

・為替交換する手続きや、為替差損の計算をする手間が省ける
・楽天VTIは国内の投資信託で1口が少額である(VTIは1口あたりが高額)
・積立投資が簡便に高機能で設定できる
・分配金再投資を少額から自動で実施できる

 

なお分配金受取方法の設定変更については下記の記事をご覧ください。
楽天VTIを購入後、全く設定されていない方は一度どちらになっているかご確認ください。

関連記事>>>
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード VTI)の分配金受取方法の変更の仕方

 

上記に挙げたメリットは資産家にはあまり意味がありません。
ドル円の交換も慣れているでしょうし、VTIの金額でも積立投資可能なはずです。

これらのメリットが活きるのは資産が数千万以下のサラリーマン投資家だと思います。
実際私も現在SBI証券で毎日定額で楽天VTIの買付を実行中です(^^)

ちなみに以前に紹介したWealthNaviでもVTIを定期的に購入中です!
他の方法でもVTIに投資中ですので機会があったら紹介したいと思います。

関連記事>>>
WealthNavi(ウェルスナビ)の評判は?手数料は高くはない!?実績公開で検討!

 

最初に述べたとおり私の現在の結論は、コストや現在の情報からすぐに解約するほどではないと考えてます。
現在のスタンスは「楽天VTIは来年まで積み立てて継続可否を判断する」です。

来期の実質コストが明らかになりましたらまたブログで記事にしたいと思います。
それまでこのブログが続いていればですが…

 

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